改正労働基準法のポイント その4 ~時間単位年休~

サーフ

2009年11月07日 12:28

今回が労基法改正ポイントの最終回になります。
今回の改正は、中小企業も対象です。導入するかどうかはよく吟味して決めて下さい。

今までの年休(年次有給休暇)は1日単位、或いは半日単にで取得できましたが、『労使協定により時間単位で取得する事が出来る』ようになります。労使協定を締結して、年に5日を限度として、時間単位で年休を与えられます。
時間単位(分単位は不可)ですから、1時間の年休も可能な訳です。労働者から見ると「ちょっと歯医者に・・・」とか「PTAの会合に・・・」なんて事にも使えそうです。

労使協定で決める事は
①時間単位年休の対象者の範囲
②時間単位年休の日数
③時間単位年休1日の時間
④1時間以外の時間を単位とする場合はその時間数
以上の4点を決めて下さい。

具体的には
①時間単位年休の対象者の範囲
 対象となる労働者の範囲を決めます。一部の労働者を対象外と設定する場合は
 「事業の正常な運営を妨げる場合」に限られます。取得目的による制限等は出来ません。

②時間単位年休の日数
 5日以内の範囲で決めます。
 
③時間単位年休1日の時間
 1日分の年休に対応する時間数を所定労働時間を基に決めます。
 時間に満たない端数は切り上げて計算します。
※所定労働時間が7時間30分の事業所は8時間として計算することになります。

④1時間以外の時間を単位とする場合はその時間数
 1時間単位のほか、2時間単位などでも設定できますが、1日の所定労働時間を上回る
 事は出来ません。
以上の事を労使協定で定めて下さい。就業規則の変更も発生しますのでお忘れなく!

運用面で見てみると、所定労働時間が8時間の事業所で、年休5日間を時間単位に回すと・・・
8時間×5日=40時間分の管理が必要。(1時間単位の場合)
従業員が30人いると 40時間分×30人=1200時間分の管理
更に通常の年休の管理・・・
年休の管理だけでも気の遠くなるような数字になります。②の年休の日数についてはあまり多くしない方が無難かもしれませんね。
お勧めは、3日程度で2時間単位での導入ってところでしょうか。

今回の改正は『~できる』で、『~しなければいけない』ではありません。義務ではないので導入するかしないかは事業主の判断です。福利厚生などの観点から検討してみてください。
ただ、決め事もなく運用すれば必ず問題が生じてきます。やるからには労使協定をしっかり結びましょう

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