年次有給休暇 その2
前回に続いて年休のお話。
前回の補足ですが、労働者の範囲は『職業の種類を問わず、事業または事務所に使用されるもので、賃金を支払われるもの』と労基法で定義が定められていますので、アルバイトやパートであっても賃金を支払われていれば当然に年休は発生します。
さて、年休はどうやって取得するのでしょうか。
「年休の申請書を書いて上司にお伺いを立てて・・・」といった取得のルールについては就業規則などで決めてください。ここで言う取得とは、『いつ取れるのか』と云う時季に関することですが、これは労働者が休みたい日に年休を指定する事ができます(時季指定権)。年休は労働者が自由に使える「労働を免除される日」ですから、労働者が指定します。
とは言え、事業主としては、とんでもなく忙しい日や、その人がいないとどうしようもない日などを指定されても困る日があるのも事実で、そんな時は「時季変更権」が事業主に与えられています。(あくまで「変更権」で、「拒否権」ではありません)ただし、判例などでは、ただ忙しいと云うレベルでは変更は出来ないとするものもあるようです。また、退職時の取得に関しては変更する時季がないということで「時季変更権は行使できない」と考えられています。
年休は労働者の請求で与えるものですが、労使協定を結んで計画的に付与することもできます。
年休の5日を超える部分を連続休暇などの制度としても使えることになりますが、労使協定が必要です。更に、事業所の全員が5日以上の年休を持っていれば良いのですが、5日未満の人に対する対策が必要になります。「解釈総覧」には『付与日数を増やすなどの措置が必要』とありますので、注意してください。
しつこいようですが「労使協定」が必要です。事業主が勝手に「お盆休み3日間!年休で!!」などは出来ません。
その他、年休についての事業主としての注意ポイントを少々。
①買い上げの禁止
年休は休むことに意義がありますから、事前に年休を買い上げて労働者に休暇を与えない事は
違反になります。
②不利益扱いの禁止
年休を取得した労働に対して、その日を欠勤扱いにして皆勤手当を支給しないとか賞与を減額
するなどしてはいけません。
③年休中の賃金
年休取得中の賃金は、就業規則の定めにより通常の賃金又は平均賃金の支払いが
必要です。或いは、労使協定によって健保の標準報酬日額とすることもできます。
④4月から時間単位の取得も可能
労基法改正で「労使協定」によって5日までの分は時間単位で取得することも可能です。
(あくまで「可能」)
年休は毎年消化できれば良いのですが、なかなかそうはいきません。
労使間で法律やルールを理解し合って、気持ちよく年休を利用して心も体もリフレッシュし、業績が向上するような運用をしてもらえればと思います。
関連記事