てぃーだブログ › 社労士業務 実況中継 › 社労士 › 年次有給休暇 その2
助成金申請 就業規則作成 労務管理 宇野社会保険労務士事務所

2010年03月12日

年次有給休暇 その2

前回に続いて年休のお話。
前回の補足ですが、労働者の範囲は『職業の種類を問わず、事業または事務所に使用されるもので、賃金を支払われるもの』と労基法で定義が定められていますので、アルバイトやパートであっても賃金を支払われていれば当然に年休は発生します。

さて、年休はどうやって取得するのでしょうか。
「年休の申請書を書いて上司にお伺いを立てて・・・」といった取得のルールについては就業規則などで決めてください。ここで言う取得とは、『いつ取れるのか』と云う時季に関することですが、これは労働者が休みたい日に年休を指定する事ができます(時季指定権)。年休は労働者が自由に使える「労働を免除される日」ですから、労働者が指定します。

とは言え、事業主としては、とんでもなく忙しい日や、その人がいないとどうしようもない日などを指定されても困る日があるのも事実で、そんな時は「時季変更権」が事業主に与えられています。(あくまで「変更権」で、「拒否権」ではありません)ただし、判例などでは、ただ忙しいと云うレベルでは変更は出来ないとするものもあるようです。また、退職時の取得に関しては変更する時季がないということで「時季変更権は行使できない」と考えられています。

年休は労働者の請求で与えるものですが、労使協定を結んで計画的に付与することもできます。
年休の5日を超える部分を連続休暇などの制度としても使えることになりますが、労使協定が必要です。更に、事業所の全員が5日以上の年休を持っていれば良いのですが、5日未満の人に対する対策が必要になります。「解釈総覧」には『付与日数を増やすなどの措置が必要』とありますので、注意してください。
しつこいようですが「労使協定」が必要です。事業主が勝手に「お盆休み3日間!年休で!!」などは出来ません。

その他、年休についての事業主としての注意ポイントを少々。
①買い上げの禁止
 年休は休むことに意義がありますから、事前に年休を買い上げて労働者に休暇を与えない事は
 違反になります。
②不利益扱いの禁止
 年休を取得した労働に対して、その日を欠勤扱いにして皆勤手当を支給しないとか賞与を減額
 するなどしてはいけません。
③年休中の賃金
 年休取得中の賃金は、就業規則の定めにより通常の賃金又は平均賃金の支払いが
 必要です。或いは、労使協定によって健保の標準報酬日額とすることもできます。
④4月から時間単位の取得も可能
 労基法改正で「労使協定」によって5日までの分は時間単位で取得することも可能です。
 (あくまで「可能」)

年休は毎年消化できれば良いのですが、なかなかそうはいきません。
労使間で法律やルールを理解し合って、気持ちよく年休を利用して心も体もリフレッシュし、業績が向上するような運用をしてもらえればと思います。



同じカテゴリー(社労士)の記事
まぁ、いいか。
まぁ、いいか。(2013-04-19 15:58)

制度変更の4月
制度変更の4月(2012-04-17 14:08)

労災保険と健康保険
労災保険と健康保険(2012-02-01 17:57)

今日から
今日から(2012-01-04 11:21)


Posted by サーフ at 21:23│Comments(4)社労士
この記事へのコメント
こんばんは

けんぽでこんなことがあったらいやだとおもうことをあげてみました。ついでに対処法も考えてみました。

 高額療養費と思ったら貸付申し込み書が付いていた←貸付申込額を空欄で受ける

 任意継続の資格喪失をしたいというので、調べてみたら初回の保険料を払っていないので、喪失させるべき資格がなかった。←任意継続前の資格の喪失手続きに社保事務にまわす

 限度額認定証が明後日までに出来ないと医療費が払えない←Faxでまわすけど、明後日は無理だから病院と話合ってもらう

 生活習慣病検診を受けたい←パンフ渡して「記載の通りに」

 傷病手当についてきた賃金台帳の写しがすごく複雑でわからない←計算式不詳で担当者名入れて丸投げする

 事業主の証明なしで被保険者証の再交付をしてほしい←それはむり!

 倒産に係る、資格喪失日←不明!

こんな感じで切り抜けようかと思っています

わたし、大丈夫でしょうか?
Posted by ぶに at 2010年03月12日 22:45
ぶにさん、こんばんは!
すごい!自己Q&A出来てるじゃないですかぁ!
もう完璧に切り抜けられます(^_-)
私はほとんどの項目で「丸投げ」のパターンです(^^ゞ
限度額認定は協会の支部で即時発行してもらえるので、超急ぎの場合は那覇市(ちょっと遠いのですが)まで行ってもらっています。
でもほとんどFAXで間に合います。

16日のデビュー戦、がんばってください!!
Posted by サーフ at 2010年03月12日 23:23
就業規則のようなものを、就職したときに提示されるのが普通なのでしょうか?
初めて就職したとき、どうだったか覚えていないのですが、最低限のことは把握していたような気がします。と、いうことは何かしら知る術があったのだと思います。
現在のところは全くありません。
聞きたいことはたくさんありますが(聞いたからといって通りそうもありませんが・・・)素人的には何から聞いていいのかわかりません。
何かの時に『あれ?』と、思いますがその都度その都度聞けないです・・・
事業主さんは、初めに就業規則をバン!と提示してくれたらいいのに・・・

と、思います。
Posted by bobbin at 2010年03月13日 01:02
bobbinさん、おはようございます。
大手の会社などでは、新入社員研修なんかで説明を行うところもあるようですが、中小や個人事業では難しかったりします。が、労働問題が出てくる会社は多かれ少なかれ就業規則に問題があると思っています。全く作っていなかったり、作っていても見せてもくれない。
就業規則は誰でも見られるようにしておくようにしないといけませんが、せめて労働契約書や労働条件通知書のようなもので、会社のルールを最低限知らせるべきだと思います。

最近話題のカーリングもルールが分かってきて面白さも増して来ました。ルールも知らずカーリングやって、ストーンは投げれてもどこに置けばいいのかわからなければ面白くも何ともありませんもんね。(例えが変ですが・・・)
Posted by サーフ at 2010年03月13日 08:38
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。